MoE(Mixture of Experts)型の大型モデルが増え、「VRAM 24GBのGPUでは載らないが、ユニファイドメモリ128GBなら動く」というクラスのローカルLLMが現実になりました。その受け皿として2026年に比較されるのが、NVIDIA DGX Spark・AMD Ryzen AI Max+ 395(Strix Halo)搭載ミニPC・Apple Mac Studioの「128GBクラス一体機」3択です。
最初に正直に書きます: 当サイトはこの3機を所有しておらず、実測していません。本記事はメーカー公称のカタログ値と、当サイトのメモリ帯域律速の原理・A6000実測からのスケーリング推定(動くか診断と同じ計算)で「読み解く」記事です。推定値と実測値は明確に区別して書きます。
結論
- 文章生成の速度(デコード)はメモリ帯域でほぼ決まります。公称帯域は Mac Studio 819GB/s ≫ DGX Spark 273GB/s ≒ Ryzen AI Max+ 256GB/s。単発チャットの体感はMac Studioが頭一つ抜ける見込みです。
- 価格はRyzen AI Max+が圧倒的: 128GB構成のミニPCが約$1,499〜と報じられており(要検証・変動)、DGX Spark(約$4,000級)の半額以下です。
- DGX Sparkの価値は帯域でなくCUDA: FP4で最大1 PFLOPの演算とCUDAエコシステムが強みで、プロンプト処理(prefill)や開発・検証用途に向きます。
- どれを選んでも「70BクラスのQ4や、gpt-oss-120BクラスのMoEが1台で載る」という点が本質的な変化です。
なぜ「帯域」で読むのか
LLMの文章生成は1トークンごとにモデル全体(またはMoEのアクティブ部分)をメモリから読み出すため、デコード速度の上限 ≈ メモリ帯域 ÷ モデルサイズで決まります。TOPS(演算性能)はデコード速度をほぼ予測しません——これは当サイトがTOPS神話の検証で実測済みの原理です。詳しくはメモリ帯域律速の解説をどうぞ。
3機のカタログ比較
| DGX Spark | Ryzen AI Max+ 395 | Mac Studio M3 Ultra | |
|---|---|---|---|
| メモリ | 128GB(統合) | 最大128GB(統合・最大96GBをVRAM割当) | 最大512GB(統合) |
| 公称帯域 | 273GB/s | 256GB/s | 819GB/s |
| 演算 | FP4 最大1 PFLOP(GB10) | Radeon 8060S+NPU 50TOPS | M3 Ultra GPU |
| エコシステム | CUDA・NVIDIAスタック | x86 Windows/Linux(ROCm/Vulkan) | Metal・MLX・ollama |
| 価格の目安 | 約$4,000級(要検証) | 約$1,499〜(GMKtec等・要検証) | 構成次第(公式参照) |
根拠: NVIDIA公式 / Notebookcheck比較 / Windows Forum($1,499報)。価格は変動するため購入時に必ず確認してください。
生成速度の目安(理論推定・実測ではありません)
当サイトのA6000(帯域768GB/s)実測値を、帯域比でスケーリングした推定です。動くか診断が全機材×全モデルで行っている計算と同じもので、実効値は実装・プロンプト長で変わります。
| モデル(Q4) | A6000実測 | DGX Spark推定 | Ryzen AI Max+推定 | Mac Studio推定 |
|---|---|---|---|---|
| 8Bクラス(Llama 3.1 8B) | 111.2 tok/s(実測) | 約40 | 約37 | 約119 |
| 32Bクラス(Qwen2.5 32B) | 30.6 tok/s(実測) | 約11 | 約10 | 約33 |
| 70Bクラス(約42GB) | 載らない(オフロードで2.17 tok/s実測) | 約6.5(帯域上限の目安) | 約6.1(同) | 約19.5(同) |
読み方:
- 8B〜32Bを速く回したいだけならこの3機は過剰で、GPU(A6000/4090等)の方が速い。3機の価値は「48GB超の大型が1台で動く」ことにあります。
- 70Bクラスは、128GB機で「動くが1桁tok/s」の世界(帯域上限からの粗い目安)。Mac Studioだけが20 tok/s近い実用域に届く見込みです。
- MoEはこの試算より速くなります。毎トークンで読むのがアクティブ部分だけのためで、A6000実測でもgpt-oss 20B(MoE・20.9B)が132.8 tok/sと8B密モデルより速い、という逆転が起きています(実測記事)。
「載るか」で見る — 128GBの本当の意味
| モデル | 必要メモリ目安(Q4) | 24GB GPU | A6000 48GB | 128GB機 | Mac Studio 512GB |
|---|---|---|---|---|---|
| Qwen2.5 32B | 約19GB | ギリギリ | ○(実測30.6 tok/s) | ○ | ○ |
| Llama 3.3 70B | 約42GB | ✕ | △(KV等で溢れ2.17 tok/s) | ○ | ○ |
| gpt-oss-120B(MoE) | 60GB台 | ✕ | ✕ | ○ | ○ |
| 235BクラスMoE | 130GB〜 | ✕ | ✕ | △(強い量子化の外部報告あり) | ○ |
gpt-oss-120Bは単一80GB GPU向けに設計されたMXFP4量子化で公開されており(根拠: OpenAI公式HF)、128GBクラスの主要ターゲットです。235BクラスをRyzen AI Max+で動かした外部報告もあります(根拠: 実行報告・強い量子化前提・要検証)。
どれを選ぶか — 用途別
- コスパで大型MoEを試したい(個人・検証): Ryzen AI Max+ 395ミニPC。半額以下で128GBに手が届きます。ソフトウェアはROCm/Vulkan経由で、CUDA前提のツールが使えない場面がある点は織り込みが必要です(経験則・要検証)。
- CUDA資産・開発ワークフローが前提: DGX Spark。帯域は控えめでも、prefill・FP4演算・NVIDIAスタックとの一体感が価値です(根拠: 上記Notebookcheck)。
- 大型モデルの実用速度・静音省電力: Mac Studio。819GB/sの帯域は3機で別格、512GB構成なら235B級も視野です。当サイトのMac mini M4実測でもAppleシリコンの電力効率は突出しており(電力効率の実測)、同傾向が期待できます(推定)。
- そもそも8B〜32Bで足りる: この3機は不要です。自宅GPU比較と機材の選び方へ。
精度等について
- 3機はいずれも当サイト未所有・未実測です(検証DBでも理論値機材として実測と分離しています)。速度の表は公称帯域とA6000実測からのスケーリング推定で、実測が取れ次第、置き換えます。
- 実効速度はランタイム(llama.cpp/ollama/MLX/TensorRT)・量子化・プロンプト長・熱設計で大きく変わります。特にprefill(長文の読み込み)は帯域でなく演算が効くため、この試算の対象外です。
- 価格は報道時点の参考値で、為替・構成により変動します。
- 手元の機材×モデルの「載る・載らない・速度目安」は動くか診断で確認できます。
この機材を入手する
- Ryzen AI Max+ 395 ミニPC(128GB構成推奨):Amazonで見る広告・Amazon/楽天で見る広告・楽天
- Mac Studio:Amazonで見る広告・Amazon/楽天で見る広告・楽天/Apple公式で見る広告・公式
- DGX Spark:公式(NVIDIA)広告・公式
実売価格は変動するため、最新の価格・構成はリンク先で確認してください。