ai-local-lab

Japanese Local-AI Agent Index

日本語ローカルAIエージェント実用度インデックス

「プライバシーやコストのために、日本語のAIエージェントをローカルで動かしたい。 でも、どのモデルが本当に使えるのか?」——その問いに自前の実測だけで答えるインデックスです。 チャットの賢さではなく、ツールを正しく呼び、結果を使って多段で作業し、最後までやり切れるかを測っています。 測り方は測定プロトコル(能力×実行性)へ。

30秒でわかる結論

日本語エージェントの実用度は「モデル族」でほぼ決まる(実測16モデル)

日本語でローカルAIエージェント(ツール呼び出し)が実用になるかは、パラメータ数や量子化よりモデル族で決まります。Qwen系が優勢で、 国産の日本語特化モデル(Swallow・LLM-jp-4)は日本語の文章は得意でもツール呼び出しはno_call主体(単発17%・連鎖0%)。 Llama3.1 8B・Mistral Nemoのように英語では94〜100%でも日本語で38〜50%に急落するモデルもあります。 さらに「単発が得意」は「エージェントが得意」ではなく、多ターン連鎖・10段超で差が開きます。

  • 本格用途Gemma4 26B(単発・連鎖・深連鎖すべて最上位)/Qwen3.6 35B
  • 軽量機で日本語Qwen3.5 4B(4Bで深連鎖67%)
  • 短い定型を高速にLFM2.5 8B(284 tok/s・長い連鎖には不向き)
  • 非中国系の現実解gpt-oss 20B(単発89%・連鎖は中位。調達要件で中国系を避けたい場合)

すべてA6000・ollama・temp0.7の自前実測。連鎖9試行・深連鎖6試行の小サンプルゆえ方向性の指標です(要検証)。用途別の詳細は下の「結局どれを選ぶか」へ。

実用度ランキング(A6000実測)

判定は日本語の多ターン連鎖を主軸に置いています(エージェントの本質=結果を使って続けられるか)。

日本語ローカルAIエージェント実用度ランキング
モデル日本語実用度単発連鎖深連鎖英語速度
tok/s
商用
1. Gemma4 26BGemma26B — 単発・連鎖・深連鎖すべて最上位。日本語エージェントの第一候補。やや重い(要VRAM)。実用目立った失敗なし100%100%83%100
2. Qwen3.6 35BQwen35B — 高い連鎖力。35Bで重いが、余力があれば日本語エージェントに堅実。実用目立った失敗なし94%89%122
3. Qwen2.5 7BQwen7B — 短〜中連鎖は堅実だが、10段超で平均206回の暴走ループ。上限ガード必須。条件付き深い連鎖で暴走ループ(要・上限ガード)94%78%33%100%119
4. Qwen3.5 4BQwen4B — 軽量・長文脈で健闘。深い連鎖でも4Bとして優秀(10都市タスク完遂)。中規模の自動化向き。条件付き中程度の連鎖で取りこぼし100%67%67%124
5. LFM2.5 8BLFM8B — 最速・単発満点だが、手数が伸びると崩壊(深連鎖17%)。短い定型タスク限定なら高速。条件付き長い連鎖で早期離脱(崩壊)100%67%17%284
6. LFM2.5 230MLFM0.23B — 230MでMinistral 14Bの日本語単発を上回る83%・短連鎖67%。超軽量エージェントの新基準。ただし呼びすぎ傾向があり、深い連鎖は不可。条件付き過剰呼び出し(false_positive)が主・10段超の深連鎖は0%83%67%0%72%736
7. Qwen3.5 2BQwen2B — 最小・高速。単純な単発〜浅い連鎖向き。深連鎖は健闘するがブレ大きい。単純タスク向き単発で過剰呼び出し/連鎖は不安定89%56%67%186
8. gpt-oss 20B (MoE)OpenAI20.9B — 米OpenAIのオープンウェイト。単発89%は上位だが連鎖44%で中位。非中国系でエージェントを組む場合の現実解(thinking型ゆえ応答に思考が挟まる)。単純タスク向き単発は堅実(no_call×2のみ)・連鎖で息切れ89%44%133
9. LFM2.5 1.2B JPLFM1.17B — 日本語特化チューンだがツール呼び出しは単発67%止まり(同族8B A1Bは100%)。対話・文章生成向きで、エージェントの軸足には不向き。単純タスク向き連鎖の途中離脱が主・深連鎖0%67%22%0%72%449
10. Ministral 3 3BMistral3.8B — 新世代でもMistral族の日本語no_call傾向がそのまま残る。英語でも72%と呼び出しが保守的。日本語は不向き日本語で半数がツール未呼び出し(no_call)・連鎖も不安定50%22%17%72%177
11. Mistral Nemo 12BMistral12B — 英語は単発100%と優秀なのに、日本語では半数でツールを呼ばず(単発50%)、連鎖・深連鎖は0%。多言語志向でも日本語エージェントは不向きで、英語向き。日本語は不向き日本語はツール未呼び出し(no_call)多発・連鎖0%50%0%0%100%81
12. Ministral 3 8BMistral8.9B — Nemoと同型の日本語弱者プロファイル。指示された定型の反復ループは半分こなすが、対話的な依存連鎖は全滅。日本語は不向き日本語単発の半数がno_call・短い依存連鎖は0%(定型の深ループのみ50%)50%0%50%67%95
13. Ministral 3 14BMistral13.9B — 深い定型ループ83%はGemma4 26B級で異彩。ただし単発no_call半数・短連鎖0%のため、日本語の対話型エージェントには使えない。日本語は不向き日本語単発の半数がno_call・短い依存連鎖は0%(定型の深ループは83%と例外的に強い)50%0%83%67%62
14. Llama3.1 8BLlama8B — 英語では94〜100%と優秀なのに、日本語の引数生成で崩れる。英語エージェント向き・日本語は非推奨。日本語は不向き日本語の引数が文字化け(bad_args)38%0%94%111
15. Llama 3.1 Swallow 8B v0.5Llama8B — 日本語MT-Bench最上位級の国産継続学習モデルだが、ツール呼び出しはno_call主体。文書・対話向きで、エージェントの軸足には不向き。日本語は不向きツールを呼ばず文章で返す(no_call×15/18)・連鎖0%17%0%112
16. LLM-jp-4 8B (thinking)LLM-jp8.6B — NIIのフルスクラッチ純国産(Apache-2.0)。thinking版でもツール判断はno_call主体。文書・RAG用途向きで、エージェント用途は現状不向き。日本語は不向きツールを呼ばず文章で返す(no_call×15/18)・連鎖0%17%0%106

単発=1回のツール呼び出し正答率、連鎖=2〜3段の多ターン成功率(9試行)、深連鎖=10段超の成功率(6試行)、英語=同タスクの英語版正答率。 すべてA6000・ollama・temp0.7の自前実測。小サンプルゆえ方向性の指標(要検証)。「—」は未計測。

日本語では「モデル族」が決定的

最大の発見は、同じモデルでも日本語と英語で別物になること。Llama3.1 8B・Mistral 7Bは英語なら96〜100%なのに、日本語では50〜60%へ急落します。しかも崩れ方が族で違います。

日本語 vs 英語のツール正答率(fp16・各48試行・A6000実測)――地力は英語、崩れるのは日本語
モデル族日本語英語日本語の失敗モード
Qwen2.5 7B100%100%なし(日英とも良好)
Mistral 7B60%96%no_call(日本語だと呼ばない)
Llama3.1 8B50%100%bad_args(日本語引数が文字化け)
要点: Llama3.1・Mistralは英語なら90〜100%なのに日本語で50〜60%へ急落。つまりツール呼び出しの地力はあるのに、日本語の処理で崩れる(壊れたJSONは3族×2言語×全量子化で0件=形は常に正しい)。日本語での崩れ方は族で違い、Llamaは引数を文字化け(bad_args)、Mistralはそもそも呼ばない(no_call)

結論: 日本語でエージェントを組むなら、量子化やサイズより先に「モデル族」を選ぶ——日本語タスクでは Qwen系が明確に優勢。英語中心なら Llama/Mistral も十分戦力。各48試行・temp0.7・要検証。

つまり「ツール呼び出しの地力」はあるのに、日本語の処理で崩れる。 新世代の Ministral 3(3B/8B/14B)でも日本語の no_call 傾向は変わらず、英語でも67〜72%と控えめでした(上の総合表)。 日本語エージェントでは、量子化やサイズより先に族(Qwen系が優勢)を選ぶのが正解です。 詳しい実測はfunction calling&連鎖の実測へ。

「単発が得意」は「エージェントが得意」ではない

単発のツール呼び出しはほぼ横並びでも、手数が増えるほど差が開きます。 単発満点のモデルが連鎖で急落し、10段超ではさらに崩壊や暴走が出ます。

① 単発(1回のツール呼び出し)の正答率
  • Gemma4 26B100%
  • Qwen3.6 35B94%
  • Qwen2.5 7B94%
  • Qwen3.5 4B100%
  • LFM2.5 8B100%
  • Qwen3.5 2B89%
② マルチターン連鎖(前の結果を使う本物のエージェント)の成功率
  • Gemma4 26B100%
  • Qwen3.6 35B89%
  • Qwen2.5 7B78%
  • Qwen3.5 4B67%
  • LFM2.5 8B67%
  • Qwen3.5 2B56%

単発はほぼ横並び(89〜100%)なのに、連鎖は56〜100%へ大きく開く。単発100%のQwen3.5 4B・LFM2.5 8Bが連鎖では67%に急落=単発の成績は連鎖を予測しない。3連鎖タスク×3回=9試行・要検証。

長連鎖(5〜6段・ツール必須タスク)の成功率(A6000実測・2タスク×3回=6トライアル)
  • Gemma4 26B100%
  • Qwen3.5 4B83%
  • Qwen3.5 2B67%
  • Qwen2.5 7B50%
  • LFM2.5 8B17%

5〜6段でも成功する組み合わせは限られ、100%(Gemma4)〜17%(LFM2.5)に開く。サイズは無関係=2BのQwen3.5(67%)が8BのLFM2.5(17%)を圧倒。最難は『検索→気温2件→合算→メール』の合成タスク。

手数が増えるほど崩れる典型 ― LFM2.5 8B
単発 100%短連鎖(2-3段) 67%長連鎖(5-6段) 17%

単発満点・最速のMoEが、手数が伸びるほど早期離脱(平均ツール呼出2.7回で停止)。「単発が速くて得意」は長いエージェントを予測しない典型例。

※ 純粋な算術5段タスクは指標から除外。強いモデル(Gemma4)はツールを使わず暗算で正答(ツール0回で「答えは210」)し、ツール連鎖の測定にならないため。エージェント評価はツールを使わざるを得ないタスクで測るべき、という方法論的教訓(測定プロトコル参照)。各9試行・要検証。

深い連鎖(10段超・10都市の気温を集めて合算など・ツール必須)の成功率(A6000実測・2タスク×3回=6トライアル)
  • Gemma4 26B83%
  • Qwen3.5 4B67%
  • Qwen3.5 2B67%
  • Qwen2.5 7B33%
  • LFM2.5 8B17%

10都市の気温を集めて合算する深い連鎖。Gemma4が最安定。10都市の収集と合算はGemma4・Qwen3.5 4B/2Bが3/3で完遂——ここでも2B/4Bが7B/8Bを上回り、サイズは無関係。

⚠ 暴走ループの実例 ― Qwen2.5 7B

10都市タスクで平均206回のツール呼び出し(上限20ターンの間、気温の再取得を延々と繰り返し終了できず)。同じQwenでも4B/2Bは8〜13回で正しく完遂したのに、7Bだけが暴走しました。

「ローカルは課金ゼロ」でも、暴走は時間と電力を浪費します。本番では無限ループ=コスト/レイテンシ爆発のリスク。最大ステップ数の上限ガードと終了条件の設計が必須——長いほど起きやすく、モデル選びと同じくらい足場(コード側の制御)が効きます。

手数を5〜6段からさらに10段超へ伸ばすと、成功する組み合わせはより限られ、終了不能(暴走/途中離脱)が増える。各6トライアル・要検証。

なぜチャットの強さがエージェントを予測しないのかはエージェント能力とチャット能力の違いで構造的に論証しています。

結局どれを選ぶか(用途別)

手元の機材で実用速度が出るか診断する →

よくある質問

日本語でローカルAIエージェント(ツール呼び出し)が組めるモデルは?
本格用途はGemma4 26B(日本語の単発・連鎖・深連鎖すべて最上位)とQwen3.6 35B(連鎖成功率89%)が第一候補です。軽量機ならQwen3.5 4B(4Bでも深い連鎖を完遂)。族はQwen系が優勢で、日本語では量子化やサイズより先に『族』を選ぶのが効きます(A6000での自前実測・小サンプルゆえ方向性・要検証)。
国産の日本語特化モデル(Swallow・LLM-jp-4など)はエージェントに使えますか?
現状は不向きです。日本語の文章は得意でも、ツール呼び出しは『呼ばずに文章で返す(no_call)』が主体で、当サイト実測では単発正答率17%・連鎖0%でした(A6000自前実測・要検証)。要約やRAGなど文書系には向きますが、ツールを回すエージェントの軸足には現状使えません。詳しくは『国産ローカルLLMの実測』記事を参照してください。
英語で動くモデルは日本語でも動きますか?
いいえ。同じモデルでも日本語と英語で別物になります。実測ではMistral Nemoは英語の単発100%が日本語で50%、Llama3.1 8Bは英語94%が日本語38%へ急落しました(A6000自前実測・要検証)。『ツール呼び出しの地力はあるのに日本語で崩れる』ためで、崩れ方(引数の文字化け・no_call)は族ごとに異なります。
単発のツール呼び出しが得意なら、エージェントも得意ですか?
いいえ。単発が満点でも、手数(多ターンの連鎖)が増えるほど差が開きます。たとえばLFM2.5 8Bは単発100%ですが、10段超の深い連鎖では17%まで崩れました(A6000自前実測・要検証)。エージェントの実用度は『結果を使って最後までやり切れるか』で測る必要があります。
軽量なGPUでも日本語エージェントは動きますか?
動きます。Qwen3.5 4Bは4Bながら深い連鎖を67%完遂し、長文脈でも省メモリです。超軽量ではLFM2.5 230Mが単発83%と健闘しますが、深い連鎖は不可でした(A6000自前実測・要検証)。手元の機材で実用速度が出るかは『動くか診断』で確認できます。
このランキングはどれくらい信頼できますか?
すべてA6000・ollama・temp0.7での自前実測です。ただし連鎖は9試行、深連鎖は6試行の小サンプルのため、順位は方向性の指標で、温度・プロンプト・モデル更新で変動します(要検証)。断定ではなく『族の傾向』を読む使い方を推奨します。

このインデックスの限界(正直に)