動くか診断で“載らない”や“遅い”と出た——では何を買い足せばいい?」 ローカルLLMの自宅GPU選びは、結局VRAM(GPUメモリ)でどのサイズのモデルが載るかでほぼ決まります。本記事は、必要VRAMの決め方から、人気GPU・中古という選択肢電気代まで含めた費用対効果・買う前のチェックリストまで、購入直前の判断に必要なことを一気に整理します。

その前に:買うべきか自体を迷っているなら——クラウド課金を続けるか自宅GPUを買うかの分かれ目は自宅ローカルAIは買うべきかで先に整理できます。「もう買うと決めた」人はこのまま読み進めてください。

注記: 速度の自前実測はRTX A6000のみ検証DB)。5090・4090・3090は当サイト未計測で、VRAM・帯域・消費電力はメーカー公称(理論値)です。価格は2026年6月時点の目安で、後述のとおり品薄で大きく変動する傾向があります。実機の速度推定は動くか診断で各自ご確認ください(実機ではこれを下回るのが普通)。

まず「いくつ載せたいか」を決める(必要VRAM早見)

ローカルLLMは、量子化したモデルがVRAMに載るかが第一条件。Q4_K_M(4bit)で おおよそ パラメータ数 × 0.7GB+コンテキスト分の余裕、が目安とされます。やりたいことから必要VRAMを逆算します。

やりたいこと目安モデル必要VRAM(Q4目安)候補GPU
軽い雑談・要約・分類〜8B6〜8GB8〜16GB級(中古3060・4060でも可)
コーディング補助・RAG14〜24B12〜18GB3090 / 4090(24GB)
高品質な日本語・エージェント27〜35B(MoE含む)20〜28GB4090 / 5090(24〜32GB)
長文脈・70B級・業務常用32〜70B32〜48GB+A6000(48GB)/5090(32GB)は量子化前提

「賢いほど大きい=VRAMを食う」。とくにエージェント用途は連鎖でモデルの地力が出るので、VRAMをケチると失敗しやすい(function calling&連鎖の実測)。長文脈はKVキャッシュでさらにVRAMを食う点も注意です(量子化はどれを選ぶ)。

GPU比較:5090・4090・3090・A6000

VRAM容量とメモリ帯域(生成速度に効く)、そして消費電力で性格が分かれます。

① VRAM容量 GB(公称)
  • RTX 509032
  • RTX 409024
  • RTX 309024
  • RTX A600048
② メモリ帯域 GB/s(公称・decode速度に効く)
  • RTX 50901792
  • RTX 40901008
  • RTX 3090936
  • RTX A6000768
③ 消費電力 TDP W(公称・小さいほど省電力)
  • RTX 5090575
  • RTX 4090450
  • RTX 3090350
  • RTX A6000300

VRAM容量はA6000(48GB)が最大、帯域は5090(1792GB/s)が最速、消費電力はA6000(300W)が最小——上位モデルが全指標で勝つとは限らないトレードオフがある。自前実測はA6000のみ(検証DBで35BのMoEが約122 tok/s)。5090・4090・3090はメーカー公称値で当サイト未計測。

GPUVRAM帯域(公称)公称TDP電源コネクタ2026/6 価格目安自前実測
RTX 509032GB GDDR71792 GB/s575W16ピン(12V-2x6)新品 50万円超未計測(理論値)
RTX 409024GB GDDR6X1008 GB/s450W16ピン(12VHPWR)新品〜43万/中古30〜40万未計測(理論値)
RTX 309024GB GDDR6X936 GB/s350W8ピン×2中古 7万円台〜未計測(理論値)
RTX A600048GB GDDR6768 GB/s300W8ピン(EPS)プロ向け・高価実測あり

メモリ帯域はdecode(生成)速度に効きます。5090は帯域が最上位(1792GB/s)ですが、VRAM容量はA6000(48GB)が最大——上位モデルが全指標で勝つわけではありません。5090は品薄で高価・高消費電力、A6000は帯域控えめながら48GBの容量と省電力(300W)が武器です。A6000実測では35BのMoEが約122 tok/s出ています(5090/4090との速度の直接比較は未計測のため断定しません)。スペックは各メーカー公称(NVIDIA RTX 5090 ほか)。

中古という選択肢:3090(24GB)は“最安のVRAM”

「とにかく安く24GB」なら、中古のRTX 3090(24GB)が候補です。GPU相場まとめ(民間メディア)調べでは2026年6月時点でおおむね7万円台〜と、24GBのVRAMだけなら新品4090の数分の一で並びます(中古GPU相場(民間メディア)・品薄で変動)。ただし中古GPUは相応のリスクがあります。

  • マイニング酷使個体: 3060〜3090は2021〜22年のマイニングブームで酷使された個体が多く出回った世代とされます(個体差は大きい)。ファン・基板の消耗に注意。
  • GDDR6Xの発熱: 3080/3090のGDDR6Xは発熱が大きく、サーマルパッド劣化でVRAM温度が110℃超になる個体も。貼り替え前提だと安心。
  • 保証失効・消耗: メーカー保証切れ・ファンベアリング摩耗・グリス劣化。動作確認と保証が付く中古ショップが無難(フリマの現状渡しは上級者向け)。
  • 買ってはいけない: 3070/3070 Ti(8GBでLLMには不足)、GTX16系(機能不足)。

中古で狙うなら 3090(24GB) が筆頭。安さはVRAM/円で魅力ですが、保証と素性を新品との差額で買う感覚を持つと失敗しません(型番別の注意は中古相場ガイド(民間メディア))。

電気代まで入れた費用対効果(買って終わりじゃない)

GPUは買って終わりではなく、回すほど電気代がかかります。ローカルが「課金ゼロ」でも、5090は最大575W・4090は450W。仮に1日2時間・実効300Wで毎日回すと月およそ18kWh、電気代31円/kWhなら月約560円・年約6,700円(負荷で変動)。常時推論や複数GPUでは無視できません。

  • 効率(tok/s/W)はモデル・機種で大差。同じ仕事を何ワットで終えるかは電力効率の実測へ。
  • 損益分岐(クラウドAPI課金 vs 自宅GPUの本体償却+電気代)はROI試算ツールに、あなたの使用時間・電気代を入れて計算できます。

買う前のチェックリスト(電源・コネクタ・ケース)

VRAMだけ見て買うと、電源やケースで詰みます。

  • 電源(PSU): 5090は850W以上(システム全体1000W推奨)、4090は850W目安、3090は750W目安、A6000は700W目安。
  • 電源コネクタ: 5090/4090は16ピン(12VHPWR/12V-2x6)。挿し込み不完全だと発熱・溶損の事例があるため奥まで確実に。3090・A6000は従来の8ピン系で扱いやすい。
  • 物理サイズ: 5090/4090のゲーミングモデルは3スロット超・30cm級が多く、ケース内クリアランス要確認。A6000は2スロット・ブロワー型で省スペース。
  • 合計消費電力: 高TDP機はCPU等との合算でブレーカー(一般家庭の1系統15A≒1500W)も意識を。

用途別のおすすめ

  • まず動かす・〜8B中心/予算最優先: 中古RTX 3090(24GB)。24GBが破格で手に入り、入門〜中量級に十分。素性のリスクは保証付き中古で回避。
  • コスパと入手性・〜30B: RTX 4090(24GB)。中量級まで快適だが品薄で高め。
  • 速度と将来性・大きめも: RTX 5090(32GB)。帯域最上位・32GBで余裕。価格と電源・サイズがネック。
  • 大きいモデル/長文脈/業務常用: RTX A6000(48GB)。35B級MoEも余裕で実測約122 tok/s、省電力・省スペースも利点。
  • Jetson・Macも含めた全体像ローカルAI機材の選び方、会社で共有するなら社内AIサーバーの作り方へ。

機材を入手する

価格・在庫はリンク先で変動します(とくに2026年は品薄で高騰)。上の早見表で必要VRAM帯を決めてから選んでください。

まとめ

  • 自宅GPUのローカルAIはVRAMで載るモデルが決まる。まず「いくつ載せたいか」を早見表で。
  • 3090(中古24GB)=最安VRAM/4090=定番/5090=帯域最速(公称値)/A6000=容量。中古は素性と保証に注意。
  • 2026年6月は品薄で高騰。価格はリンク先と中古相場(民間メディア)で最新確認を。
  • 電気代込みの損益はROI試算、効率は電力効率、載るか・速度は動くか診断へ。